#0014/ 1990s “VIONNET” Book written by Betty Kirke／求龍堂

1998年発行の「VIONNET」という書籍です。

マドレーヌ・ヴィオネというオートクチュール黎明期(1920年代)に一世を風靡したデザイナーについて書かれた書籍で、著者はベティ・カークというアメリカ人です。
彼女は1970年代にアメリカのメトロポリタン美術館のコスチューム修復士の元で働いているときにマドレーヌ・ヴィオネの服に出会いました。
マドレーヌ・ヴィオネは前記の通りフランスのオートクチュール黎明期のデザイナーでしたが、第二次世界大戦の影響でメゾンを閉じてからメゾンを再建することなく引退したデザイナーで、1970年代当時は全く忘れ去られていた過去の人でした。
ベティ・カークは修復の仕事で偶然出会ったヴィオネのドレスに魅せられて同美術館公認でヴィオネのドレスを収集、研究していきました。
その集大成として日本の出版社から日本語翻訳版として1991年に発刊されたのが本書であり、当商品は1998年の新装版です。

マドレーヌ・ヴィオネのクリエイションに関してはここでは解説しきれないくらいの思い入れがあるので割愛します。
当書籍は著者が収集した実物のドレスより抜き取られた型紙が掲載されているのが最大の特色と言えます。
他にファッションデザイナーのクリエイションに関して書かれた書籍や写真集は数多あれど、この書籍のように型紙を中心に構成されている物はほとんど類を見ません。
ヴィオネのクリエイションにおいて型紙がいかに重要な要素かを体現した内容と言えます。

この書籍が発刊されてから世界各国でヴィオネの回顧展が開催されました。
残念ながらデザイナー本人は既に逝去した後でしたが、そのクリエイションの独創性と後の世代に与えた影響がやっと世界中に再認識、再評価されたと言って良いでしょう。

ただ、この書籍は現在廃刊です。
私自身はこの書籍に出会って深い感銘を受け、今でもそのエッセンスを受け継いでいると自負しています。
情報が溢れる昨今ですが、実際の書籍を手に取って頁をめくり、ときには自らの手を動かして奇跡をなぞってみるのも大きな学びになると思います。
服飾を学ぶ若い学生の方にこそお勧めしたい一冊です。

タイトル：VIONNET
著者/作家：Betty Kirke
出版社：求龍堂
発行年：1998年
サイズ：高さ36.5cm
　　　　奥行26.5cm
　　　　幅2cm
重さ：1760g
備考：新装版
　　　帯付き(傷みあり)
　　　カバー傷みあり
　　　カビ臭なし
　　　日本語
発送：宅急便

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